関西建築紀行 2018夏 中編-京都国立博物館 平成知新館-
関西建築紀行2018夏 中編です。
訪れたのは「京都国立博物館」平成知新館。建築家・谷口吉生さん設計。蓮華王院「三十三間堂」の通りを介した向かいにあります。右の写真は長いアプローチ。
清潔感と潔さと静けさ
谷口吉生さんの設計は、清潔感と潔さ、静けさが特徴ではないでしょうか。主張しすぎない穏やかさも兼ねていて、日本人だれがみても「好ましく」思うのではないかなと思います。博物館という用途からも、図と地でいうと地である、しかし存在感は確かにあるというような。
おそらくそんな印象の秘密は、屋根の先端等のディテールエッジの「細さ」と線の「長さ」、そして「連続性」。また、ここにあるべくして使った材料、色・・という説得力があります。
余計なもの、線は排除。完成度の高さ・研ぎ澄まされた感が漂う中、あまりに前衛的すぎない安心感もあります。
細かい点ですが、右の写真のベージュの壁についた細いステンレス手摺。
私も住宅の設計で握りやすさなどの点で30mm~40mmの手摺を使うのですが、
こちらは15mm~20mm。細い分美しい。これでいいのだ。と思いました。
また、要所に松の植樹。京都ならでは、もっというと日本ならではの美術館を象徴していてすごく効果的。
歴史の重みの中に
この土地は、秀吉の創建した「方広寺」の境内だった場所とのこと。
このお寺の回廊の柱位置を水盤の中にマーキングしています。
この列柱と、向かいの三十三間堂の門とが真っすぐにつながるような線上に、「平成知新館」の入り口を設けたそうです。
そして博物館旧館との新旧対比。片山東熊さん設計の明治からの重みのある西洋建築を堂々と受けた平成知新館。庭の噴水前にはロダン「考える人」。そこを中心にぐるっと見渡すと、ひゅーっと世紀を超えた感が味わえます。
本物を観る目
さて、内部の展示物ですが、さすがに国立博物館、太古の仏像から始まり染織物、大名好みの金工・漆工の名芸品、絵巻物、、と盛りだくさん。千家十職の道具類も見事でした。。
これは何でしょうか。
仏像の「目」に注目!水晶が入っていてこちらを見ている、
その水晶の目の色は、裏に緑色の和紙を入れてあらわしている・・というのを子供にもわかりやすいように手で触れて順番に入れられるような説明コーナーがありました。仁王像や閻魔大王のような像によっては、和紙の色を赤にするなどして感情を表しているのだそうです。
隣では「墨」や「墨汁」がどうできているかをやはり触れるようになっていました。夏休み期間だったからか、分かりやすいこのようなコーナーは、すごくいいですね!
美味しさでさらに満足
博物館内のレストラン「前田珈琲 京博店」
私たちが食べたのは、パスタやサンドイッチ。
どれもこれも一品一品美味しい。
しかも前面のガラス窓からは博物館 新・旧館を
一度に展望できる絶好のシチュエーション。
贅沢なランチのひとときを過ごしました・・・・
まとめ
という訳で、京都といえばお寺、お庭、春夏秋冬の自然・・という方もぜひ、繁華街のすぐ近く、
歴史の玉手箱の国立博物館にもぜひ行ってみてほしい!のレポートでした。
ちなみに次回9月下旬から「京のかたな展」は、マニアの人たちがチケット殺到!の初の「刀剣」が集まる展示とのことです!