関西建築紀行2018夏 ー後編ー 京の都を形づくる様々な魅力たち ー

季節はすっかり旅行にぴったりのほどよい秋になりました。関西建築紀行「夏」の最後の冒頭の写真は夾竹桃。

私たち日本人や世界各国からくる観光客が、京都の京都さしさを形づくる歴史、落ち着き、風雅、粋などの様々な魅力を、街並み全体で作っている、そんなポイントを最近何度か京都に往復している私なりの視点で挙げてみます。

京の山と川


先ずは山々に囲まれた京都。鴨川に立つと、山々の稜線の色合いと空が季節や天気を敏感に反映します。建築協定に守られた高さの低く保たれた家がそれを充実させ、人々の憩いの場の川縁りは、肌に触れるスケール感覚で身近に自然を感じる格好のポイントです。

流れる文脈ー記号にを読み解くと


家々は、隣あって其々が文字通りに寄せあって建っているような(雨仕舞上も、隣の壁と板金でくっついています。写真はそんな建物の解体現場。隣とくっついていたのが分かります)間口いっぱいいっぱいに建物を立てていった表れなのかもしれないですね。

 

間口といえば、いわゆる町屋は、昔から税金が間口で決まっていたので、間口を狭く、奥行を長くという敷地取りになり、さらに間、間に中庭をとって通風な光を入れた構造になっているそうです。→詳しくはまた、町屋見学をさせてもらった巻を書きますね。

瓦屋根、よく見ると’むくり’がついて真っすぐナナメに上がっているのではなく、すこし凸状に円形の屋根なんですね。これは材料を押さえるため、高さを押さえるためなどの工夫だそうです。上の写真の一番左の瓦屋根の家は、真ん中の真っすぐナナメに上がっている家に比べてずんぐりむっくりに円形を描いた勾配になっていますよね。よく見ないと分かりませんが、よく見ると比較的古めの瓦屋根は殆どそうなっています。

通りに直接面して塀がない京都町屋は、目隠しの配慮が窓の格子に表れています。足元の犬矢来も、境界を暗黙のうちに配慮しながらも示しています。

へいの目地 大きなお寺の多い京都、大学などの大きな敷地も、塀で囲まれていますね。
塀の仕上げは昔からの土壁が多く、土を雨から守るための瓦屋根が乗っているのも特長です。めじの線の数の違いをご存知でしたか。
五本の線は皇室など京都御所など高貴な建物。
三本の線、線なしと従って、身分の違いが表れています。バスの中からでも見れるので、注意してみてみて下さいね。

←目地の線のない塀

 

←横に白い線(目地)が五本入った京都御所の塀

現代的近代的なマンションや戸建住宅も、そんな京都の歴史的な、文脈を受け継ごうとする意志の現れた意匠が多いですね。まちの一員となる資格のようなものかもしれません。縦格子、押さえた色合いの外壁、階段を隠す格子など。下の写真は毎日新聞京都ビルのファサードの縦格子と階段の見事な意匠です。

 保存と経済の論理


京都はやはり観光のまちでもあるので、町屋を改造した民泊は多いですよね❗
私が前回、前々回泊まったところも、興味深いことになっていました。
(前回)
airbnbを初めて使い、リーズナブルな民泊に泊まりました。シャワー室、トイレ、洗面共用。ベッドのみの個室。内鍵、外鍵管理ともに自己責任で、最後までオーナーさんと会うことはありませんでした。(これはたまたまだったようですが)その代わりメールでのオーナーさんやり取りは何度かしました。元は何の建物だったのか?二階全体が民泊でした。キッチンで調理している外国人さんにも会いました。

(前々回)
恐らくワンルームマンションからのビジネスホテルへと改造した部屋。廊下がホテルのそれ(カーペット敷)ではなく、マンションの共用廊下、ビニル床タイルのような状態です。ロビーも深夜には閉まり、たまたま深夜にキーを部屋内に入れ外に出てしまった私は、系列の確か熱海のホテルに電話をしました。(無事京都のに住む従業員の方が鍵は開けてくれました)

これらリノベーションのホテル、民泊に共通するのは、必ずしも交通の便がよくないこと、人件費を減らしていること、しかしその分お安い合理的サービスという、インバウンド消費打ってつけであるなあという印象でした。

お玄関ー京都タワーと京都駅


玄関ですね。1997.コンペ入選の原広司さん設計のコンセプトのわかりやすさです。なんといっても大階段、これが屋上まで続いています。

 

人々の通過地点でもあり集まってくる時点でもある駅。この可能性を広げた大階段。屋上庭園では時間と共に移り変わる空を楽しみながら行き交うひと。ひと。どんな物語が繰り広げられているのか。


インスタにあげた↑この夕日が反射している写真も実は京都駅の屋上で撮ったものです。希望を感じた写真!朝日から夕日まで、1日の駅の表情を太陽と空とともに感じるコンコース・・・ですね。

さらに京都タワー、今は低層ビルとともにライトアップされていて、この昭和ノスタルジー感いつまで続くかな。

最後はごはん おばんざい「めなみ」


先日行った時、地元に住んでいる友人三条「めなみ」というお店を紹介していただきました。季節のおばんざい。食事を楽しみながらお酒も楽しめるお店で美味しかったです❗

いかがでしたでしょうか。家族がいるためまた関西に行くこともあろうかと。新しい発見を今後も色々レポしていきますね!

 

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