上野散歩のついでに建築アート!2019冬お勧め美術展 その2!

こんにちは、リッチ空間デザイナー、おりおん舎の山本です。
今回は、建築家北川原温さんの東京芸術大学退任展を中心にご紹介。

 実は、この展示は1月18日まででしたので、「これから鑑賞するのに、オススメ!」とは言えず残念です・・が、その代わり今からお伝えする私のブログ内でその感動を一緒に味わってくださいね!そして、記事の最後にはこの「東京芸大美術館」のおすすめ情報や2019冬今から観れるオススメ建築アート美術展をおつたえします。題して、「2019冬お勧め美術展その2!」。前回の2019冬お勧め美術展その1 の続きです。

目次

1 建築とは何か!北川原温退任展-芸大美術館

 パリ・ポンピドゥーセンターにもスケッチが展示されている、世界的な建築家・北川原温先生の芸大退任展。研究室の院生さんが当番でいらっしゃったので、すこし質問させてもらいながら展示を見せて頂きました。

 この展示では、現実の建築として実現したプラン、実現していないプランも含めて、その計画の一番初めの初期コンセプトの模型を集めたそうです。建築は、実現に向けた段階に従い色々な制約条件などが絡んでくるため、計画第一案というのは、「ここにはこれをしたい」という思い・理想の凝縮ともいえます

 例えば上記の作品。どこからどこまでが作品かというと、手前の黒いハコ・青い面・奥の金属までが作品です。「マラルメの庭と家」ステファヌ・マラルメの詩「Un Coup de des Jamais Nabolira le Hasard」へのオマージュということですが、「一辺が22mの金属でつくられた雑木林と、同じサイズの空地、および同じサイズだが少し傾いた並行四面体の構造物で構成される家」を、最大限に抽象化し、形としてみせているのです。色と形をボリューム単位に抽象化することで、よりコンセプトを明確にしたい建築家の意図。素材と色、高さ方向の立体感で、同じサイズの空間の可能性を対比させています。

K

一事が万事、このような抽象化された模型作品。上の写真と下の写真、どこか違うのが分かりますか。同じ角度から撮っています。

K

この作品、実は動いているのです。フランツカフカの未完の小説「城」の主人公「K」がめぐる空間イメージをモチーフにした美術館計画とのこと。模型はカチカチカチ・・・ジジジジ・・と音がなり、壁と天井が不規則に移動している、そのコンセプトを忠実に再現した模型。ジジジジ音は、この部屋全体に響き、圧倒的な存在感を放っていました!

WOOD INFINITY
WOOD INFINITY

 この作品は、どこかでみたことがありませんか。実は、このブログでも紹介した、六本木の森美術館で開催された「建築の日本展」のゲートに展示されていた木組みです。「2015ミラノ万博の日本観の外壁」にも使われたもの。日本の代表素材「木」を使用し、伝統的な「木組み」の構造美、そしてどこにでも設置・バラシ・再現可能なシステム化が美しさになっています。

建築の日本展に設置された木組み。japan-architects ホームページより

若いころ、サウジアラビアでの研究中「建物をいくらつくっても、いつか砂にかえる。結局、無駄なものだ」と現地の遊牧民が呟いた、その衝撃からずっと建築とは何か探求してきたそしてその答えは未だにみつからない。このように言う北川原さんのこだわりを、十人分に味わった贅沢な時間でした。

2 コスパ最強!東京芸術大学大学美術館

 さて、先程の北川原温退任展は終了しましたが、実は東京芸術大学大学美術館は、とてもお勧めの美術館です。というのは、一般の美術館に比べて割とリーズナブルな価格、場合により無料の企画展がいくつも同時に所狭しと開催されているのです。詳しくはリンク先へ。

 今後、未来の芸術家・卒業生の力作「卒展」や、「芸大コレクション展」が始まります。先の北川原先生の血を引き継いだ、北河原研究室の学生作品も勿論展示されます。

 芸大美術館の地図はこれ。上野の森を訪れたら、是非これからは一区画足を延ばして、日本の芸術第一人者の方たちの展示、アカデミックな歴史を多角的にたどれるこだわりの芸術群をごらんになってみてはいかがでしょうか!

3 2019冬の建築アート展はまだまだ熱い!

 最後に、2月から東京で始まるオススメの建築展、というか私も絶対に行きますというのを二つご紹介します。

ル コルビジェ展 2019.2.19-5.19 国立西洋美術館です。もはや地球全体のあらゆる建物がコルビジェのモダニズムを標準的に用いている現在。しかし当時は「石」でできていたヨーロッパの建築の中、最先端の「鉄、コンクリート、ガラス」を素材として可能になったピロティや水平に連なる窓などの建築ボキャブラリー。改めて歴史を紐解く展示になっていると思います。

アルヴァ アアルト展 2019.2.16-4.14 東京ステーションギャラリー。フィンランドの建築家・デザイナーアアルト。誰でも見たことのある北欧インテリアの椅子はすでに世の中の定番。コルビジェと同じように、一般化、標準化されたアアルトデザインの原点を探ってみることができるのを期待しています。

そしてこの2つの展覧会、なんとどちらかのチケットでどちらかが100円引きになります。この相互割引も忘れず使用してくださいね!

東京建築アート、2019冬も目が離せません!どうぞ時間を作ってチェックしてみてくださいね。

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