木造軸組構法の家の「要」とは~’建築金物’について

こんにちは、リッチ空間デザイナーの山本です。

今日は工事中にしか目に触れない、だからこそ重要な「建築金物」のお話をしたいと思います。

目次

金物は力を受ける要(かなめ)!

いわゆる「在来木造(木造軸組構法)」

(日本の在来的にある工法で、木の「柱」と「梁」でできていて、地震や風などの水平の力を「筋交い(すじかい)」という斜めの材や面材などで受ける工法。

2×4(ツーバイフォー)工法(2インチ×4インチの材とパネルの壁で力を受ける)などに対して使われます。)

の場合、骨組みの「柱」「梁」「筋交い」それぞれを「接合する部分」に金物を使って、それぞれの材をどう繋いで力を伝えていくか、というのがとても重要になります。(さらには古民家などに代表される「筋交い」ではなく「貫」で水平力を受けたり金物を使わない接合部「こみ栓」「鼻栓」などの伝統工法がありますが、それはまた別の機会に)

金物が使われている場所(㈱タナカ ホームページより)

 建物を設計するとき、「地震力」や「風圧力」という横からかかる力を想定し、それに耐えうるよう建物ごとの間取り・設計に応じて構造壁(この場合筋交いや面材)を配置していきます。実際の地震では「柱」「梁」「筋交い(面材)」は絶えず右に揺れたり左に揺れたりを繰り返し、それによりそれぞれの材が抜けたりしないよう木材同士を金物で引っ張って支えているわけです。金物の種類と位置は、建物1棟1棟ごとに計算して配置します。

(ちなみに自重(建物そのものの重さ)や積載荷重(人間や本など載る荷重)、積雪などの垂直方向に対しての耐力も考慮しています)

施工時の金物の検査は重要!

 建物を建てる場合、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)や、住宅瑕疵担保履行法の施行などで、住宅の施工会社は1棟ごとに住宅のお引渡しから10年間、構造や雨漏りなどの瑕疵担保責任が義務付けられています。さらに、施行会社が破綻したときなどもお施主様を守るため、施行会社は保険や供託が義務付けられています。

 このため、工事途中に、きちんと保険をかけられるかどうか、設計図どおりの金物の設置がされているかどうか、の国土交通大臣指定機関の金物検査があります。

一社 住宅瑕疵担保責任保険協会HPより

 さらに、設計事務所の設計の場合には、施行会社やお施主様から独立した第三者としての設計事務所が、やはり設計図どおりの施工がなされているかどうか、工事のタイミングを見計らって構造壁や金物1本1本を点検していきます。

 私も先日、その設計事務所の立場として金物検査や耐力壁がきちんと施工されているかを確認する仕事をしてきました。

柱と土台とつなぐホールダウン金物
筋交いと端部の金物

さらにリフォームでも金物を設置!

 建築基準法はたびたび改正されていて、数十年前の建物と今新築する建物では、従っている基準も違うため、昔の建物には、現在の基準にあった金物が使われていないことも多くあります。 

 これは大規模なリフォーム時に、壁位置を変更したり断熱材の施工により断熱性を高めたりするのと同時に、構造補強のため金物を取り付ける、ということにも立ち会ってきました。

柱と筋交いを繋ぐ金物
柱と土台を繋ぐ金物

このように、人間でいうと骨にあたる木造の軸組(じくぐみ)=構造材と金物部分。工事中もこういう形で、目に見えないところを丁寧に作っていっています。

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