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[本×旅]佐渡建築紀行!2019前編

 こんにちは、おりおん舎 山本です。この夏行ってきたのは新潟・佐渡。五感で体験する「旅」と人智の結集「本」の縦横の糸を織り成すと、相乗効果になることをご存知でしょうか! ちょっと本日はそんな実験も絡めた記事としたいと思います。

 佐渡、私は実は初めてでした。海と山でできた東京23区の1.5倍の広さの島。令和元年の今は、佐渡金銀山を世界遺産にしたい!ということで地元はとても盛り上がっていました。

 そして行く前に丁度読んでいた本がコレ!

目次

本は「経済で読み解く日本史」江戸時代編

 上念司・著「経済で読み解く日本史」江戸時代編。経済評論家の上念さんならではの、現代の政治や経済との比較が要所にでてきて、通常の歴史書や史実に基づいた小説などとは違った切り口・トーク術のような書かれ方なのですが、だからこそ、現代人にとってわかり易く当時を忍ぶことができます。

 例えば、佐渡にも大いに関係する「金」本位制だった江戸時代。金の産出量で幕府財政の浮き沈みも左右され、三代家光の頃にはでかなりの金を使い果たしてしまい、そこからの財政紆余曲折の話だとか(さらに明暦の大火が千代田区全体をまわり災害で幕府の財政はさらに逼迫しただとか)そこで下記にも触れる百姓・商人の地場産業が経済を潤すのだけれども、武士の給料は「米」だったため、武士はあくまで米相場をあげようと必死だったとか、当時を俯瞰できる今だからこそ、物語のように当時をふりかえることができます。(まさに事実は小説より奇なり。)

 さて 本書の中でも佐渡に関係することとえば「海運」と「金」

 今ふれたように江戸時代の経済は「農民」「商人」が引っ張っていて、特に農民は単に農作をするだけでなく地場産業を盛んに行う兼業農家であり、それが経済を潤していました。

 そこで佐渡を潤していた一つは、北海道・松前や山形の酒田から天下の台所・大阪を結ぶ海の交通です。本書でも、幕府の許可を得た菱垣廻船・樽廻船から飢饉を経てもう許可なしでも米を江戸・大阪に運ばねば、と「北前舟」が台頭してきたところはなるほど、なのですが、その北前舟、日本海側の西廻りと太平洋側江戸とつなぐ東廻りとあったそうで、佐渡はもちろん西廻りの主要な寄港地。

 この海運で上方と地方の物資が沢山入ってくるわけで、下の写真「佐渡国小木民俗博物館」には復元した北前舟や、様々な民俗文化財が陳列されています。上方からきた文化のお雛様などがそれを物語っていました。

 さらにここで得た知識。米一俵も、舟から下し、人足・馬で琵琶湖を経て大阪に運ぶよりも瀬戸内海を通った海運のほうが全く安かったそうです。なるほど。この船の中も見学できて、実感が沸きます。

江戸時代の海運で栄えた「小木」の古民家

 さてその海運で栄えた港町・小木。佐渡の実に三分の一の財産が蓄積されていたという海運で潤った宿根木集落は、重要伝統的建造物群保存地区、ということで町並みごと当時の歴史を保存され、民家も見学できるようになっています。

 一度松前~大阪を往復するだけでいまでいう億に相当する儲けがあったという北前舟。これで繁栄した船持ちの「清九郎家」に入ってみました。

 床柱をはじめとした各柱の「面取り」が特徴的な広間。船大工さんならではのこまかく丁寧な仕事です。(柱の角をとがらせたままでなく、斜めにすきとるのを、面を取るといいます)↓

 1階広間の奥には、天然の冷蔵庫。岩をほってありパントリー機能を果たしたようです。

 どの家も、海辺なので外壁は傷みやすい漆喰塗ではなく、杉板張り。通常土壁で塗り重ねられる「蔵」も、土壁を施した上で一番外側には杉板になっています。↓

 ちなみに佐渡のまちなみはほとんど、黒光りする瓦葺。「能登瓦」だそうです。これも金属葺だと塩でやられてしまうからですね。

 庶民の家も数件公開されています。こちらは「三角家」。もともと別の場所に建っていた家を移築時に、土地形状に合わせて変形の家に建てたそうです。水平垂直の仕事ばかりではない船大工さんが大勢いる佐渡ならでは!の建築です!

 当時を彷彿とさせる家家、井戸、水路・・半日間たっぷり見てまわりました。

誰もが勧める宿「花ノ木」

 さて私たちが泊まった宿は、小木港にほど近い、誰もが勧めるペンション「花の木」さん。誰も、というのは、事前に旅好きな方からの情報でこの宿を知ったのと、佐渡にわたるフェリー内でも地元の方数人からあそこはいいよ、と聞いたというわけです。

 事前に注文しておいた新鮮なカニを堪能!。古民家を生かした気持ちのいい空間。離れで静かに就寝。海外からの観光客も佐渡には勿論多いようですが、日本の良さ!を十分に伝えるお宿です。


さて 世界遺産にするべく盛り上がっていた金山をめぐる旅は後編につづきます。