いざ災害!住宅の安全対策・耐震対策その②

先日、東日本大震災以来であろう東京・埼玉での大型地震がありました。建物被害は多くはありませんでしたが、「電車やエレベーターのストップ」など都心部ならではの脆弱さが取り上げられました。そしてこういう災害が起こると、自宅の防災対策が気になった方も多いと思います。30年間に大地震のくる確率が70%と言われています。この記事では、前々回のいざ災害!インフラが止まったらその① の記事(家庭内でできる防災訓練について)に引き続き、そもそもの住宅設計における安全対策について書きたいと思います。

目次

住宅設計時の注意点

住宅の新築や、リフォームの際に防災対策として問題になるのは、以下の項目です。

  • 耐震対策(構造強度)はどの程度?
  • 避難経路は大丈夫?煙感知器って必要なの?
  • 防災用品をどこに置く?

耐震対策(構造強度)はどの程度?

 地震大国の我が国。新築やリフォーム時にできる安全対策の1つはもちろん、建物そのものの耐震対策です。戸建て住宅の設計では、建物の自重や雪の荷重などのタテの力だけでなく、「暴風」と「地震」といったヨコからの力に対して対策をします。

そして住宅品質確保法では、住宅の性能表示として耐震対策のレベルを3つに分けています。

・耐震等級1 建築基準法のレベルです。

・耐震等級2 耐震等級1の、1.25倍の地震に耐えられる耐震強度

・耐震等級3 耐震等級1の、1.5倍の地震に耐えられる耐震強度です。

 耐震等級1は、新耐震基準と呼ばれる、現在の基準法のレベルです。法律は年々変わってきているので、築年数の多い住宅でのリフォームではまず第一にこの耐震等級1(現在の建築基準法のレベル)に持っていくところを考えていきます。ちょうど、断熱対策や間取りの変更により壁仕上げを壊すリフォームのチャンスに、耐震対策もできるわけです。

ちなみに、耐震等級1(建築基準法のレベル)
◆数百年に一度程度の地震(震度6~7程度)に対して倒壊や崩壊をしない
◆数十年に一度発生する地震(震度5程度)の地震に対して損傷しない

という人命や財産を守る最低限のレベルを目指しているため、逆に言うと数百年に1度程度の地震だと「倒壊や崩壊はしないが、損傷をすること自体は許容している」といえます。つまり大地震の後に改修工事は必要になる可能性があるのです。

 一方で耐震等級2のレベルは、新築時に目指すものとしてよく使われます。おりおん舎でも、新築時の標準はこの耐震等級2レベルです。 耐震等級2は減税対策とにもなる国の「長期優良住宅」制度の認定条件ともなっています。一方で耐震等級1(基準法レベル)の住宅と比べ、耐震壁の量を増やす必要や床剛性をとるなど、設計時のプラン制約が若干出るのを配慮しながら設計していきます。

 さらに、震度7の揺れが2回連続して起こった熊本地震では耐震等級3の家はびくともしなかったといわれます。おりおん舎でも、耐震等級3レベルになるように「制振ダンパー」を使うなどの設計も致します。ただ、耐震等級をあげればあげるほど、高額になることも事実です。

このように予めどの安全レベルを目指した設計なのか、を明確にしてプランニングをしていくことが大切です。

制振ダンパー(住友理工 HPより)

避難経路は大丈夫?煙感知器って必要なの?

 建築基準法上は、2階建てまでの戸建て住宅には避難経路を特に求められてはいません。しかし、3階建てになると、3階から2階に降りる階段と、2階から1階に降りる階段を「直通階段」(上から降りてきたときに次の階段がすぐにわかるように見通せる位置に階段を設ける)にしなさい。ということが法律上決められています。3階から2階に降りたときに、次の階段が迷路のようにどこにあるかわからないようではダメなのです。

考えてみればもっと高層のマンションやビルでは、階段は、回り階段であってもずっとタテに同じ場所に続いてますよね?それが直通階段です。

 このことから言えるのは、ご自宅でみなさんが住まわれる際には少なくとも、階段まわりや廊下まわりに物を置かない、避難ができるようにしてください。特に梯子の「ロフト」がある家などでは意外と避難が大変になりがちですので、日ごろから何かがあったときのことをシミュレーションしてみてください。

 そして、皆様の自宅にも必ず天井にある「煙感知器」(キッチンでは熱感知器)。火災の発生を未然に防ぎます。これは新築住宅だけでなく既存住宅にも必要と消防法で決められていますので、もし見当たらないというかたは是非購入・設置してください。(自分で設置できます)

また電池切れになっている場合は是非電池交換をお勧めします。これもご自分でもできます。

 ガスの地震感知、分電盤の地震感知させる装置などもあります。是非この機会に点検してください。写真は分電盤の地震感知装置です。

防災用品をどう収納する?

 防災用品、つまり非常用持ち出し袋、非常食、買い置きの水のペットボトル、懐中電灯、非常用バッテリー、カセットコンロ・・・などと多岐にわたると思います。

原則は当たり前のようですが「避難経路に置く」ことです。つまり廊下、階段、玄関付近です。前々回のブログ いざ災害!インフラが止まったらその① で自宅防災訓練をした際も、懐中電灯などはやはり玄関に置いておくのが便利でした。

しかし、買い置きの水ペットボトルなどかさばるものはパントリーなどに、お客様と相談しながら配置していきます。「天袋、地袋」にあたる位置は、普段手が届きにくいので日常使わない用品、つまり防災用品などを置くことになります水ペットボトルなどは重いので、地袋の位置になるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ご自宅の安全対策、是非点検してみてください。ご相談はおりおん舎でも受け付けております。どうぞお問い合わせフォームLINE公式アカウント(下記のQRコード)からもお気軽にご連絡をくださいね。

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