おりおん舎のモデルルームリノベ 裏話その1~ネオ古民家というコンセプトについて~
こんにちは。一級建築士事務所おりおん舎山本です。あっという間の秋ですね!
この春から夏にかけて、おりおん舎はモデルルーム兼事務所兼住宅、そしてレンタルスペースなどにもなる空間として、戸建てまるごとのリノベ-ション工事を行いました。
facebookやインスタグラムなどでも写真はご紹介しているので、少しここでは設計の裏話についてお話しますね。
こちらは、玄関からはいると階段の裏側が見えるつくり。その右にはリビングに入る入口、「蔵戸」があり、さらに右手前にはケヤキの古材で作った下足棚があります。
実は、この家のコンセプトに迷っていましたが、玄関入ってすぐにあるこの階段だけはどうしても動かせないため、この階段を逆手にとって見せて「魅せて」いこう、それがまず一つの方針でした。 ちなみにこの階段、リノベーション前は収納となっていて、壁で囲われていました。このためこの茶色い柱2本も壁の中に隠れていたのです。
しかしリノベ後は壁をはがし、まるでオブジェのように必然的にそこに階段がおいてあり、魅せられる空間を目指しました。。。。
といっても、当初はこの階段の各段の縦の段をはずして、いわゆる「スケルトン階段」にして、2階からの光を1階まで届かせたかったのです。
しかし蓋をあけて階段を一部壊してみたら、階段の裏側はもともと収納だったため細かい木材で補強されていて、縦の板だけをきれいにはずすことが難しく、逆に浮造り(うづくり)仕上げの木パネルを張り付ける形でお化粧をしたのがこの状態です。
そしてスケルトンは無理でも、1階から2階につづく壁を一体にすることで、家全体のつながりを明確にしたかったのです。
そこで階段脇を黒い印象的な珪藻土のアクセント壁とし、2階までつづくようにしました。
珪藻土といえば、みなさんが思い浮かべるのは「バスマット」ではないでしょうか。珪藻という植物の化石を原料としたこの材料、多孔質のため吸湿性があるので、バスマットのような用途に用いられたり、このように壁材や天井材として左官材料に使われています。この建物においても、湿度をうまく調整するという機能ももちつつ、意匠的にも非常に印象の残る壁としました。
階段を上ると2階に続きます。この珪藻土の壁を2階天井まで塗り続けることにより、1階と2階の空間の連続性がより強くなります。
2階にあがるとこのような和室になります。ここはもともと和室だったため、今回の工事では①畳の張替え②間仕切り壁の設置(いままでは襖だった、ちょうど写真右側の黒い壁、これも珪藻土です)③襖の張替え の工事のみ行いました。
ということで、2階のこの和室を残しながら建物一体に対するコンセプトを考えたとき、和室があるのでもうこれは「モダン(現代風な)和風」だろう、という軸ができあがりました。
(次につづく)