一粒で何度も美味しい😋「戦略読書日記」ブックレビュー

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申しあげます。

 閑話休題、私の好きな著者のお一人「楠木 建」さんの著書「戦略読書日記」レビューです。この本はかなり読みごたえがありこの年末年始思わず読みふけってしまいました。

1 見せ場が沢山あるサーカス方式


 著名人の読書記録って参考になると思い思わず購入すること、あるあるですよね。

しかし、普通やはり読書記録、本の紹介ってその本を読まないとなかなか分からないようにできているのが普通だと思うのです。当然です、本歌があっての解説なわけで

 しかしそこは楠木さん。本歌を読まなくても分かるように親切なあらすじがうまく分かるように書いてあり(あからさまな「あらすじ」ではなくそこは筆の力でなんとなく読んでいると分かってくる)さらにエンターテイナー楠木さん。ところどころに見せ場が沢山あるサーカス方式。そして題材も、「経営に役立つ」という一本幹があるようで、もう80年前の石原莞爾さんの戦争論から昭和20年代銀座のバー「おそめ」のマダムさんの話、建築家隈研吾さんの本からリクルートの「Hot Pepper」成功談など題材が古今東西縦横無人。さすが年300冊の趣味読書(頭を使わないと気持ちの悪いというご本人)

2 戦略サーカスの一端をこれでもか!というくらいご紹介しましょう


例えば日本テレビのプロデューサーだった井原高忠さんの「元祖テレビ屋大奮戦!」という本を紹介した第二章。

当時の日本テレビの看板番組「NTV紅白歌のベストテン」の裏で、ナベプロが新番組を始めることになった時の話。同時間帯にスターは全部そちらに取られてしまい、ナベプロのスター抜きには音楽番組は成り立たない、という当時の情勢。しかし井原さんは「スター誕生!」という番組を使って新人をどんどん発掘し、ナベプロ以外の弱小プロダクションとWINWINの関係をつくる。そしてデビュー後日本テレビのあらゆる音楽番組に出し、レコードの出版権を日本テレビ子会社に持たせ、版権ビジネスとも連動。「戦略ストーリーの勝利」を再現している。


 また、「ストーリーとしての競争戦略」(本人の著書)の第一章。「スキルとセンス」の違い、担当者のスキルの寄せ集めでは経営のセンスは磨かれない。スキルは国語算数理科社会の世界だとすれば、センスは課外活動、「どうやったらモテるか」という話であり、デートの場数を踏むに越したことはないと解く。そして読書は経営センスを磨くための筋トレであり、走り込みであり、即効性はないがじわじわ効いてくるとのまとめ。比喩による分かりやすさのピカイチ度満点なこの章を自著ながら一番初めの第一章に持ってきて、その後の読書日記へ誘うまさに本書の戦略ストーリー

 ちなみに第七章、経営者三枝匡さんの章でも「スキルとセンス」の話は掘り進められていて、「経営センスという月光仮面」の正体を、どこのボタンを押したらどんなことが起きるのか、のデータベースが豊かなこと(量と質)であると暴いていますね。


 第9章、リクルートの「Hot Pepper」という「狭域情報ビジネス」の成功談は、まさにそれまでの商圏と全く違う半径2kmの生活圏をターゲットとした従来は「おまけ」的な扱いであったクーポン自体を主役にする「クーポンマガジン」であるという発想の転換、ラテラルシンキング的な話から始まります。

これだけでもワクワクするのですが、まず飲食店から広告の営業を責めていき、違う業種に広げるといった「順番」が大事という「経営戦略ストーリー」のストーリー(お話)たる部分がはさまります。

 さらには、「クーポン」はお客様にとっても勿論お得であり、お客様が使うことにより広告主の手元に可視化された「広告効果」となり戻ってくるので、またホットペッパーを利用するインセンティブになる、という一石何鳥にもなる太い太い戦略ストーリーが読み解かれます。まさに本書で楠木さんが伝えたかった、本の副題でもある「本質を抉り出す思考のセンスを養う書」の具現化の章で、きっと楠木先生の筆は勝手にすいすい進んだのではないかと想像します。

3 締めは本人の空想癖?いやいや読書量の多さ


 そして最後にグリコのおまけみたいな楠木さん自身の読書について本人へのインタビュー。楠木さんの興味の対象が「なぜそういう行動をするのか」「知識や対象そのものよりも、その背後にある論理への関心」というのが肝。

 と同時に楠木さんが文字通りの脳内「空想癖」をしゃべる部分がありまして、これが楠木フアンとしてはマニアックに面白すぎな感じ・・。私も確かに10代のころありました・・。むかーし住んでいた団地の棟と棟の間の地下に、要塞があって・・という脳内で勝手に作るお話。楠木先生はいまでも「この20年ほど僕はずっとスパイなんですけどね」とか、中学生のころ「脳内のイワイワ団について友達に話した」とか。ここはもうどっかに先生いっちゃっていて、かなり笑えます。

そういう訳で「戦略読書日記」の面白さとお役立ち具合、伝わっているとイイナ。

今年も本ブログをよろしくお願いいたします。

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